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カナダ最高裁がPromise Doctrineを否定(AstraZeneca Canada Inc. v. Apotex Inc, 2017 SCC 36)

IPニュース 2017.11.01
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カナダ特許法では、「発明」は「新規かつ有用(new and useful)」な技術等と定義され(第2条)、この有用性は特許出願時のデータから示されているか、予測可能であることが求められる(doctrine of sound prediction)。Promise doctrineは、明細書に何らかの見込み(promise)が記載されている場合、特許出願時にその全てがデータから示されているか、予測可能であることを求めるものであり、2005年以降、医薬分野の特許の無効化に利用されてきた。

AstraZeneca Canadaのカナダ特許No. 2,139,653を無効と判断したAstraZeneca Canada Inc. et al v. Apotex Inc. et alの連邦裁判所判決(2014 FC 638)を維持した控訴裁判所判決(2015 FCA 158)の上告審で、最高裁判所は、2017年6月30日、Promise doctrineは特許法第2条の有用性を評価するのに適切な方法でないと判断した。

本件化合物は、胃潰瘍等の治療薬であるNexiumTMの有効成分であるエソメプラゾールである。下級審において、プロトンポンプインヒビター(PPI)としての有用性は認められていたが、明細書に記載される”an improved therapeutic profile such as a lower degree of interindividual variation”について有用性が示されていない、と判断されていた。

最高裁は、Promise doctrineを否定し、発明の有用性は、まず発明の主題(subject-matter)を特定し、次にその主題が実用的な目的を達成しうるかで判断すべきであり、また、有用性は1つの用途について示されれば足りるとした。そして、本件ではPPIとしての有用性が示されており、無効とされるべきでないと判断した。

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