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【韓国】審査基準改訂について

IPニュース 2021.06.16
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 2020年12月14日付で韓国特許・実用新案審査基準の改訂がなされました。その主な改訂内容は、以下の通りです:

(1)パラメータ発明における明細書等記載要件の強化
 今回の審査基準改訂により、パラメータ発明の記載要件を満たすためには、
 通常の技術者が、出願時の技術水準からみて、過度な実験や特殊な知識を付加せずとも、明細書の記載によってパラメータを含む発明の全ての構成を特許請求の範囲で限定した数値範囲全体にわたって正確に理解することによってこれを用いることができ、その効果についても数値範囲全体にわたって十分に予測できなければならないことが、審査基準として明確にされた。

 これに伴い、パラメータ発明における記載要件に関して、発明の説明に対する記載要件を満たしていないとされる事例、発明の説明によって裏付けられていないとされる事例がそれぞれ追加され、実施可能要件およびサポート要件に関する判断基準が具体化された。

 <発明の説明に対する記載要件を満たしていないとされる追加事例>
 ・パラメータの定義および技術的意味が明確に記載されていない場合
 ・パラメータにより限定された物の製造方法が記載されていない場合
 ・パラメータの効果を確認し得る実施例および比較例が記載されていない場合
 ・パラメータと関連した変数の測定方法・条件および測定装置についての記載がない場合

 <発明の説明によって裏付けられていないとされる追加事例>
 ・特許請求の範囲においてパラメータの数値範囲が限定されている場合に、発明の説明にその数値範囲全体にわたって具体的な実施例が記載されておらず、実施例によって効果が確認された数値範囲外の範囲については出願時のその技術分野の技術常識をもってもその効果が認められない場合
 ・パラメータの特性値を満たすだけでなく、特定の組成や工程などの構成によって発明の効果が確保される場合に、これらの必要な構成を除いてパラメータの特性値のみを特許請求の範囲に記載している場合

(2)選択発明の進歩性判断基準の緩和
 従来、先行発明の明細書に出願発明の上位概念となり得る記載が存在する場合には、当該出願は選択発明であるとして、厳格な選択発明の進歩性判断基準が機械的に適用されていた。
 今回の審査基準改訂では、
・先行発明に、出願発明を排除する否定的な教示または示唆がある場合、または、
・先行発明が多数の下位概念を包括しており、先行発明が明らかにした効果が広範囲の下位概念に対して適切に確認されていない場合
には、選択発明の進歩性判断基準ではなく、一般的な進歩性判断基準を適用できるとされ、先行発明の明細書に記載された内容に応じて、選択発明の進歩性判断基準を緩和し得るようになった。
 なお、選択発明の進歩性が認められるためには、先行発明と比較して質的に異なる効果を有するか、量的に顕著な差異があることが要求される。

(3)植物発明におけるCRISPR-Casシステムの基準の明確化
 植物関連発明の進歩性は主に、新規な植物自体又はその一部の発明については当該植物の特徴に基づいて評価され、植物の育種又は再生方法の発明については、出発材料の組み合わせ、変異誘導手段や再生手段、及び当該方法によって得られる植物の特徴に基づいて評価される。
 今回の審査基準改訂により、CRISPR-Cas技術を用いる植物関連発明の進歩性の基準が以下のように規定された。
 異なる植物種に類似の形質を導入することによって得られる新規な植物の場合、進歩性の評価において典型的には以下の(i)~(iv)が考慮される。
 (i)既知植物に関連する先行技術文献の開示。
 (ii)出願時の技術常識に基づき、異なる種において当該形質の発現を試みることの容易性。
 (iii)異なる種において当該形質を発現させるにあたり技術的障害を克服するための構成上の相違点。
 (iv)異なる種において当該形質を発現させることによってもたらされる予想外の効果。
 なお、既知手段によって容易に発明が達成できるような場合は一般に進歩性は認められないが、異なる効果や顕著な効果を示す実験データを示した場合は進歩性が認められる。

(梶田 真理奈、笹倉 真奈美)

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