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【日本】特許消尽論/リサイクル品と特許権侵害の成否

IPニュース 2006.11.25
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(知財高裁、平成18年1月31日判決の紹介)

概要

知財高裁が発足してから三番目の大合議判決であり、特許権の消尽について重要な指針を与えた平成18年1月31日判決について紹介する。

事案の概要

原告(キャノン株式会社)は、自社製品であるインクジェットプリンタの専用インクカートリッジを製造販売しており、同インクカートリッジを対象とする特許権を保有している。被告(リサイクルアシスト社)は、原告会社製インクカートリッジにインクを再充填したリサイクル品を国内で販売している。被告の販売するリサイクル品に、原告保有のインクカートリッジ特許が及ぶか否かが争われた。

問題の所在

BBS事件(最高裁第三小法廷平成九年七月一日判決)によって特許権の国内消尽が判例上確立されており、特許権者等が譲渡した製品については、もはや特許権の効力が及ばない。しかし、インクカートリッジ等のリサイクルは、消尽の法理が適用される典型的な事例(特許権者からの譲受人による転売、貸し渡し)と異なるため、消尽適用の是非が争点となる。

過去の裁判例の流れ

過去の消尽に関する裁判例の考え方は、生産アプローチと消尽アプローチに大別できる。生産アプローチは、当該行為が新たな生産か、それに達しない修理か、という基準で消尽成立の是非を判断するものであり、従来の多数説。高裁の判例もある。一方、消尽アプローチは、特許権者等から譲渡された製品でも、製品の効用が終了した後は特許権の行使が可能とするもの。近年の使い捨て製品の多様化、豊富化に伴い、生産アプローチでは対処できない事例(使い捨て注射器など)が生じてきており、そのような問題意識から提唱されている説。地裁の判決例があるが、高裁で採用された例はない。

本判決の判示

本判決では、消尽が成立しない2類型が定立された。
第1類型:当該製品が本来の耐用期間を経過してその効用を終えた後に再使用又は再生された場合(消尽アプローチ)
第2類型: 第三者により特許発明の本質部分を構成する部材の全部又は一部につき加工又は交換がされた場合(生産アプローチをより具体化)

プレゼンテーション資料はこちらから

田村 啓

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