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【インド】インド特許法

IPニュース 2006.11.25
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(2006Annual Meeting)

概要

BRICsの一角を占めるインドはその存在感を次第に増してきており、経済のみならず知的財産の分野においても注目を集めています。BRICsの最新知的財産の状況として、インド特許法について、その経済的背景と特許政策を踏まえて紹介します。

内容

インドはTRIPs協定上「発展途上国」と位置づけられています。旧法は、かつての宗主国である英国法をモデルとし、物質特許を認めるなど比較的厚い保護を行っていましたが、現行法(1970年法)はその制定時、自国産業の保護および公共の利益を重視した規定となっており、「発展途上国のモデル法」としばしば揶揄されてきました。その後、数次の改正を経て、TRIPs協定完全適用までの猶予期限の満了と同時に遡及的に施行された2005年法改正により、再び物質特許を認めるようになりました。
インド特許庁は4つの特許局より構成され、各特許局は同一のプラクティスに従うものとされています。現在施行されているインド特許法の特色としては、仮明細書制度、追加特許制度、対応外国出願情報提出義務、法定査定期限、特許発明実施状況の年次報告義務などが挙げられます。
インドの出願件数は1990年の経済自由化以降、印パ戦争の影響を受けてはいるものの、全体的には急激に伸びてきていると言えます。インド産業の現状を把握するため、特に成長著しい自動車、IT関連、医薬分野を取り上げています。
近年国際的な問題となっている生物資源・伝統的知識の保護について、インドは明細書に生物材料の出所を記載するよう求めるなど、積極的に対応しています。

まとめ

今やインドは「発展途上国」を脱却し、新たなステージに入ったと言えます。中産階級が拡大し、巨大マーケットとしての魅力があり、また、理数系思考に強く、人的資源という面でも高い評価を得ています。インドはTRIPs協定の「宿題」を終え、知的財産保護路線へと舵を切りました。現在、インドは生物資源・伝統的知識の保護および利益配分を求め、対応を迫られる側から迫る側へと変化してきています。
このような状況において、日本企業はインドにおける知的財産の方針・対策を見直すべき時期にさしかかっています。

参考文献

「シンガポール・インド訪問代表団報告」 日本知的財産協会 2006年7月
「インド特許・意匠・商標法に関する報告書」 アジア弁理士協会 2006年6月
Right Now!, Vol. 17, 「インド最新知財情報」 2006年4月
「インド経済の実力」 門倉貴史 日本経済新聞社 2006年5月
ほか

プレゼンテーション資料はこちらから

吉田 環

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