2025年7月29日付けEPO技術審判合議体の中間審決(T697/22)において、補正クレームに合わせて明細書を整合させる必要があるかについて、拡大審判部に以下の質問が付託されました(G 1/25)。
1.異議申立手続または異議申立不服審判手続中に欧州特許のクレームが補正され、その補正によって、補正クレームと特許明細書との間に矛盾が生じた場合、EPCの要件に従って、矛盾を解消するために明細書を補正クレームに適合させる必要があるか?
2.最初の質問の回答が肯定的(yes)の場合、EPCのどの要件が、そのような適合を必要とするか?
3.審査継続中または査定不服審判継続中に欧州特許出願のクレームが補正され、その補正によって、補正クレームと特許出願の明細書との間に矛盾が生じた場合、質問1および2に対する回答と異なるか?
EPOの実務では、欧州特許出願の明細書を、許可された補正クレームに適合するように修正することが要求されてきました。しかしながら、この要求は、出願人に負担をもたらすと共に、明細書の補正によりクレーム解釈と保護範囲に影響を与え得るという懸念を引き起こすため、実務家から批判を受けていました。
拡大審判部の審決において、補正クレームに合わせて明細書を整合させることについて、従来よりも柔軟な判断がされれば、出願人にとって有益となります。そのため、どのよう審決がなされるのか注目されます。
(参考)
EPO HP:Referral to the Enlarged Board of Appeal (2025.7.29)
(大釜 典子)