2026.07.02

【ASEAN】ASPEC+プログラムについて

 ASEAN各国の知的財産庁は、2026年4月6日、ASEAN Patent Examination Co-operation Plus(ASPEC+)プログラムの開始を発表しました。

1. ASPEC+について
 ASPEC+は、既存のASPEC制度の枠組みの中に新たに設けられた任意利用の制度であり、ASEAN加盟国の参加知的財産庁間において、同時かつ協調的な特許審査を可能にする制度です。
 なお、従来のASPECは引き続き利用可能であり、ASPEC+はその代替ではなく、選択したASEAN加盟国間における審査結果及び審査スケジュールの整合性向上を目的とした追加的な選択肢として導入されました。
 複数のASEAN加盟国において同時並行で特許出願を審査し、初期段階の審査結果の整合性向上を期待する出願人にとって、ASPEC+は有力な選択肢となり得ます。

<従来のASPECについて>
 従来のASPECは、ASEAN加盟国のうちのいずれかの国の知的財産庁で得られた肯定的な審査結果を利用して、他のASEAN加盟国での審査を加速する、直列型の加速審査制度です。

2. ASPEC+の運用方法
(1)出願人は、ASPEC+申請時に主審査庁(「Office A」)を1庁選択し、さらに1つ以上の参加庁(「Office B」)を選択します。
 ・出願人は、選択したすべての庁に対して同時にASPEC+申請を行う必要があります。
 ・対象となるのは、下記の出願です。
  (i)新たに審査請求を行う出願
  (ii)審査請求済みであるがまだ審査結果やオフィスアクションが発行されていない出願
 ・各国出願におけるクレームが同一または対応関係にある必要があります。

(2)Office Aは最初に先行技術調査および審査を実施し、その結果を他の参加庁と共有します。

(3)参加庁は相互に審査結果を検討し、意見交換を行いながら、審査結果及び先行技術調査結果の調整を進めます。

(4)各庁は各国法令の範囲内で、同一又は類似した審査結果(First Office Action)を、ASPEC+申請日からおおよそ10~14か月以内に発行することを目標としています。
 ・最終的には各庁が自国の法令および審査実務に基づいて独自に審査結果を発行するため、他庁の判断に拘束されるものではありません。

(5)ASPEC+の利用申請に対する庁費用は現在設定されていません。
 ・各国における通常の調査・審査手数料は必要です。

(6)国によっては、技術分野又は出願形態に応じてASPEC+の利用に制限があります。
 例えば、
 ・フィリピンでは医薬関連特許出願についてASPEC+を利用できない
 ・マレーシアでは分割出願についてASPEC+を利用できない
 といった制限があります。

 ASPEC+の詳細については、ASEAN Intellectual Property Portalのウェブサイトをご参照ください。

<ASEAN Intellectual Property Portal>
https://www.aseanip.org/services/asean-patent-examination-co-operation-(aspec)/what-is-aspec

(中谷 剣一)