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【米国】特許法271条(b)の誘導侵害に関する連邦最高裁判決(Limelight判決)

IPニュース 2014.10.12
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2014年6月2日、LIMELIGHT NETWORKS, INC. v. AKAMAI TECHNOLOGIES, INC., ET AL.事件において、連邦最高裁は、特許法271条(b)項の誘導侵害が成立するためには、単一の者による直接侵害の存在が必要であると判示した。

これまで方法特許について271条(b)項の誘導侵害が成立するためには、単一の者による直接侵害(271条(a))が原則的に必要であると解釈されてきたが、CAFCは、本件の前審の大合議判決において、単一の者が特許方法に係る全ての工程を実施しなくても、他の者に残りの工程を実施することを誘導した場合には271条(b)の誘導侵害が成立するという新たな法律解釈を示した。今回、最高裁は、CAFCが大合議判決で示した法律解釈ではどの工程を実施すれば特許侵害になるのか判断できなくなるので、誤りであり、また、271条全体の法律解釈からも不合理であるとして、CAFCが大合議判決で示した法律解釈を否定した。

問題となったクレームは、コンテンツ・デリバリー・ネットワーク(CDN)を通じてウェブコンテンツを管理・伝送する方法である。被疑侵害者のLimelight社は特許方法の工程のほとんどを実施していたが、ある工程を自らは実施せず、同社の顧客であるコンテンツ・プロバイダに実施を促していた。これまで、このようなコンピュター・ネットワークに関する方法クレームについては共同侵害(直接侵害)の厳しい基準が示されてきており、共同侵害の成立には、単一の当事者がプロセス全体を「指示または管理」している必要があるとされている。そして、この「指示又は管理」基準についても、「高いレベルでの代理関係または契約上の義務」によって確立されるとされてきた。よって、本件のような方法特許の分割・共同実施について、共同侵害(直接侵害)は事実上ほとんど認められない。

今回の最高裁判決により、本件のような方法特許の分割・共同実施については誘導侵害(間接侵害)も認められないことが示されたことから、現状、本件のような方法特許の分割・共同実施については共同侵害(直接侵害)も誘導侵害(間接侵害)もほとんど認められず、第三者は侵害を容易に回避できる。最高裁もこのような現状を認識しており、判決の中でCAFCに必要があれば共同侵害(直接侵害)を再考することを示唆している。

LIMELIGHT NETWORKS, INC. v. AKAMAI TECHNOLOGIES, INC., ET AL.事件判決文

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