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【米国】 輸入後に方法特許を侵害する物品に対する輸入差し止め

IPニュース 2015.12.02
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SUPREMA, INC., MENTALIX INCORPORATED v. INTERNATIONAL TRADE COMMISSION, CROSS MATCH TECHNOLOGIES, INC.

(CAFC No. 2012-1170, August 10, 2015)

  • 本判決のポイント

輸入時点では方法特許を侵害しないが、輸入後にソフトウェアを組み込むことで侵害を構成する物品に対し、のは、による輸入差止めを支持した。

 

  • 背景

・上訴人(被告、被疑侵害者): SUPREMA, INC.およびMENTALIX INCORPORATED

・被上訴人: INTERNATIONAL TRADE COMMISSION (ITC)

・当事者(特許権者): CROSS MATCH TECHNOLOGIES, INC.

・対象特許:米国特許第7,203,344号(’344)

・対象特許は、認証スキャナに関する方法特許である。SUPREMA社のスキャナは、それ自体は特許侵害を構成しないが、MENTALIX社のソフトを組み合わせることにより、’344特許を侵害する。特許権者CROSS MATCH TECHNOLOGIES社(CMT社)は、ITCに輸入差止めの申立を行い、ITCは輸入差止めを決定した。SUPREMA社、MENTALIX社は決定を不服としてCAFCに控訴した。CAFCのパネルは、輸入時点で侵害が発生していないのであるから輸入差止めは認められないと判示した。この判決に対し、CMT社およびITCがen bancによる審理を申立て、これが受理され、en bancで再度審理することとなった。

 

  • CAFC (en banc)の判断

・結論:先の判決を覆し、ITCの差止め決定を支持した。

根拠:ITCは、輸入後に直接侵害をもたらす物品について、輸入時点での教唆侵害を認定し、差止めを決定した。この解釈は、米国での商業的利益の保護を趣旨とする関税法337条の立法趣旨とも矛盾しない。
ただし、ITCに強すぎる権限を与えることになるとして、反対意見があり、6:4の僅差での判決であった。

 

  • 考察

先の判決では、方法クレームの大部分を海外で実施し、輸入後に侵害を構成する場合、その侵害に係る物品を水際で阻止することができなかった。による輸入差止めは、特許権者のとり得る措置としてこれまでも注目されていたが、より実効的な手段の一つとなったと考えられる。

以上

(弁理士 稲井 史生)

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