目次

01

異なる道を経て特許の世界にたどり着いた二人

式見:私は大学で応用化学を専攻し2001年に入所しました。実は大学院は中退でした。中退するからには職を探さねばと、大学の図書館で新聞の求人広告を見て応募したのが青山特許事務所と出会ったきっかけです。弁理士についての詳しい知識もなく、当時は「弁理士は儲かるらしい」というくらいの印象でした(笑)。募集要項では院卒が条件でしたが、ダメ元で電話したところ、履歴書を送るように言われて、そこから入所に至りました。

川﨑:私は式見さんの11年後の2012年の入所です。それまで自動車メーカーで設計をしていました。35歳ぐらいになって、家族や今後のことを考えたときに、当時住んでいた愛知県に定住するよりも、関西に戻りたいなと。ただ、社内での転勤は難しく、転職して自力で戻ることに決めました。ただし、設計者としての転職ではなく、新しいことにチャレンジしたいと思い、思い切って弁理士の資格を取得してUターンすることにしました。決心するまでいろいろ悩み、一歩を踏み出すまでに1年程度かかりました。いろんな技術を扱える弁理士が面白そうだと感じたのも転職の理由です。メーカーに勤めていたときに、働きながら勉強して、試験に合格しました。
青山特許事務所を選んだのは、規模の小さい事務所よりもトップランナーのようなしっかりしたところで働きたかったこと。自動車の特許を扱っている事務所だったことも理由の一つです。

02

野球部で一緒だったことがコラボの源泉?

川﨑:入所後は機械分野に配属となって、最初は翻訳から。3か月ほどで国内出願の仕事を、上司の指導を受けながら担当するようになりました。前職が自動車メーカーだったからでしょうね、自動車関連の案件から担当を開始しましたので、取っ付きやすかったです。そういえば、たしか式見さんは入所してからですよね、資格を取ったのは。

式見:はい、当初は今でいうライフサイエンス部門に所属し、その後10年ほどして化学・材料部門に異動しました。当時は、外国からの出願が圧倒的に多かったこともあり、ひたすら翻訳の仕事が中心でしたね。弁理士資格の取得に対する意欲は低く、のんびりしたものでした(笑)。でも、上司と一緒にお客様のところに行きだしてから、資格がないとやはり十分に信頼を得られないと感じるようになって資格取得へのモチベーションが芽生えました。これに加え、仲のいい同期の後押しもあって勉強を始め、試験に合格できました。入所してから資格取得に時間を要しましたが、青山の先輩、同僚にじっくりと育ててもらって感謝しています。

川﨑:お互い経歴や技術分野は違いますが、最近はコラボする機会も増えてきましたね。

式見:例えば、衛生管理用品の案件もそのひとつ。例えば、モップには、構造的な部分と薬品的な部分があって、それぞれの知見が必要になりますよね。そんなときには川﨑さんと一緒に相談会に参加しています。

川﨑:そうですね。自動車メーカーの案件についても化学の要素を含む発明があるので式見さんに協力してもらっています。違った分野の専門家が身近にいて、しかも気軽に相談できることが、青山特許事務所の強みですから。

式見:あと、もともと川﨑さんとは年齢も近くて、野球部でも一緒でしたから、話しやすかったのもありますね(笑)。

03

パートナーになって実感する責任と喜び

川﨑:私は2023年1月にパートナーになりました。グループ長として比較的小さな新しいチームを任されるようになったのがきっかけだったと思います。新しいチームであったこともあり、最初はメンバの仕事を確保するのに苦労しました。それが、2024年に入ってから徐々に依頼が増えてきたところです。何が要因で増えてきたかは分析できてないのですが、少しずつ信頼を築けてきたのかなと。

式見:それは川﨑さんの人柄がお客様に伝わったからじゃないの(笑)。仕事で同行したときも、柔らかな物腰で安心感がありますし、お客様から信頼されてるなあって。まあ自分自身をほめるわけにはいかないでしょうから、代わりに私がほめて差し上げましょう(笑)。

川﨑:そういう式見さんもだって、お客さんの懐に飛び込んで心をつかむというか。なかなかあそこまで踏み込めないですよ。

式見:図々しいだけですよ(笑)。私は2024年1月からパートナーですが、その前はマネージャーを経てグループ長でした。ただマネージャー昇格は2回断ってるんですよね。責任にびびってしまって。でも今は、マネジメントの面白さを実感しています。特に若手が成長していく姿を見るのは嬉しいですね。2024年には川﨑さんと私のグループからそれぞれ1人ずつ弁理士試験に合格して、本当に誇らしいです。

川﨑:パートナーになってある程度、自分の裁量で判断できることも増え、より仕事の面白さを実感していますが、一方で対外的な責任も増えますよね。特に海外のクライアントと接する際は、みっともないことができないのでプレッシャーを感じますが、それだけに上手くいったときの充実感は大きいです。

04

青山の良さを次世代に繋げつつ、変化に対応する柔軟さも

式見:青山特許事務所は2025年に60周年を迎えますが、創業者の青山先生が大切にしてこられたフラットな組織文化を守っていきたいですね。23歳で入所したとき、当時所長だった青山先生が「よっ!」と気さくに話しかけてくださったのをよく覚えています。あのアットホームな雰囲気をこれからも受け継いでいきたいです。
一方、世の中の変化は非常に速く、価値観や働き方、コミュニケーションのスタイルもどんどん進化しています。若い世代が持つ感性や発想に刺激を受けることも多く、世代を越えて学び合いながら、こうした変化にしなやかに適応していく姿勢とスピード感をこれからも磨いていきたいと思っています。

川﨑:変化ということでは、今、ペーパーレス化やDX推進だとか様々なプロジェクトを積極的に進めているでしょう。とても大事なことだけど、日常業務と並行して取り組んでいるので、なかなかスピーディーにいかない。この点をいかに改善できるかも課題ですね。受け継いできたものを次に繋げていきながらも、新しいことに変化を躊躇なく挑戦するバランス感覚が大切なのかもしれませんね。

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